弾性ストッキングと着圧ソックスの違い|どちらを選ぶか
弾性ストッキングを選ぶとき、最初に決まるのは「圧の強さ(mmHg)」と「丈」の2点です。
ここを外すと、履けない、あるいは履けても目的に合わないものが手元に残ります。
素材や色は、そのあとの話。
圧の単位はmmHg(水銀柱ミリメートル)で、数値が大きいほど強く締まります。
そして市販の着圧ソックスと、医療機関で症状に応じて選ばれる弾性ストッキングは、同じ「圧をかける靴下」でも設計の目的が違います。
前者は着用中の脚の張りへの対処や見た目を意図した製品が多く、後者は下肢静脈瘤やリンパ浮腫などの圧迫療法のために圧の分布まで設計されています。
自分がどちら側の話をしているのかを先に決めないと、比較の土台が噛み合いません。

靴下Lab編集部
靴下Labは、「快適な足元から、毎日の生活をもっと豊かに」をテーマに、靴下に関するあらゆる情報を調査・発信するメディアです。素材や機能の違い、季節に応じた選び方、消臭・防寒・健康サポートなど、靴下に関する疑問をわかりやすく解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
弾性ストッキング選びで見るべき軸
見るべきは、圧の強さ、圧の分布、丈、つま先の形、サイズの合わせ方の5つです。素材や編みは快適性に影響しますが、目的の達成度を左右するのは圧と丈です。
圧の強さ
足首部分の圧をmmHgで表記する製品が多く、数値が大きいほど締まります。
強ければ良いというものではありません。
強圧は着脱の難易度が上がり、しわが寄ったときに一点で食い込むリスクも増えます。
医療機関で圧迫療法として使う場合、どの強さを選ぶかは症状や動脈の状態によって変わるため、自己判断で強いものに寄せるのは避けてください。
気になる症状があるときは医師に相談してから決めるのが順序です。
圧の分布
足首を最も強く、上にいくほど弱くする設計を段階圧と呼びます。
ふくらはぎや太ももの側が足首より強いと、血液が上へ流れる方向と逆の圧配分になります。
段階圧の記載があるかは、製品ページで確認できる範囲でチェックしておきたい項目です。
丈・つま先・サイズ
丈は膝下(ハイソックス)、太ももまで、腰までのパンストタイプに大別されます。
つま先は覆うタイプと開いているタイプ(オープントゥ)があります。
サイズは足首やふくらはぎの周囲長で決めるものが多く、靴のサイズだけでは決まりません。
圧力別に見る弾性ストッキングの種類
丈による違い
膝下丈は着脱がいちばん楽で、ふくらはぎまでの範囲を圧迫します。
太もも丈は膝上まで覆うため、腿の範囲まで圧をかけたい場合に選ばれます。
ずり落ちを防ぐ滑り止めの帯が上端に付く製品もあります。
パンストタイプは左右がつながっていて、上端が食い込みにくい反面、着脱の手間は最も大きい。
つま先の形による違い
つま先まで覆うタイプは、足先も含めて生地に包まれます。
オープントゥは指が出る形で、指まわりの締めつけを避けたい場合や、皮膚の状態を目で確認したい場合に向きます。
ただし指の付け根で生地が止まるため、そこがずれると食い込みやすい。
着圧ソックスとの違い
市販の着圧ソックスは、長時間の立ち仕事やデスクワークでの脚の張り、着用中の見た目を意図した製品が中心です。
圧の表記がない製品や、足首の圧だけを示す製品もあります。
一方、圧迫療法で用いる弾性ストッキングは圧の強さと分布が製品仕様として管理されています。
市販品を「医療用」と説明したり、逆に医療機関で選ばれた製品を市販品で置き換えたりしないでください。
着圧ソックスでできることとできないことを整理しておくと、期待値のずれを避けやすくなります。
編み・素材による違い
生地はナイロンとポリウレタンを組み合わせたものが基本です。
ポリウレタンが伸縮を担い、ナイロンが摩擦への強さを受け持ちます。
綿を混ぜて肌当たりを柔らかくした製品もありますが、伸縮成分が減れば圧の設計は変わります。
薄手は蒸れにくく夏でも履きやすい。
厚手は生地が丈夫で、しわが寄りにくい傾向があります。
タイプ別に向いている人の特徴
| タイプ | 構造上の特徴 | 向いている条件 | 向かない条件 |
|---|---|---|---|
| 膝下丈(ハイソックス) | ふくらはぎまでを圧迫。着脱が最も容易 | 初めて履く/自分で着脱する/膝下の張りが気になる | 膝上まで圧迫したい場合 |
| 太もも丈 | 膝上まで覆う。上端に滑り止めが付く製品がある | 腿の範囲まで含めたい/膝下丈がずり落ちる | 着脱の負担を最小にしたい |
| パンストタイプ | 左右一体。上端の食い込みが出にくい | 両脚に同じ条件で履く/上端のずれを避けたい | トイレの回数が多い/片脚だけに履きたい |
| つま先あり | 足先まで生地で覆う | 足先の冷えが気になる/靴を履いて過ごす | 指まわりの締めつけが苦手 |
| オープントゥ | 指が出る形 | 指まわりを締めたくない/足先の皮膚を確認したい | 足先まで包まれた感覚を求める |
| 弱めの圧 | 締めつけが穏やか | 初めて/長時間の連続着用/自力で履く | 圧迫療法として強さを指示されている |
| 強めの圧 | 締めつけが強い | 医師の指示のもとで使う | 自己判断で選ぶ/握力が弱く着脱が難しい |
妊娠中は腹部を圧迫しない形を選ぶ必要があり、判断軸が変わります。
マタニティ期に向く形と注意点を先に確認してください。
男性の場合はふくらはぎの周囲長が男性向けサイズ表に収まるかが問題になりやすく、男性向けのサイズと圧力の目安が参考になります。
失敗しやすい弾性ストッキングの選び方
強い圧を選べば効きが良いと考える
強圧は着脱の負担が大きく、履くときに生地がねじれたまま固定されやすくなります。
ねじれた部分は圧が一点に集中し、皮膚に食い込みます。
とくに動脈の血流に問題がある場合、強い圧迫は避けるべき状況もあります。
強さは症状に応じて決めるものです。
靴のサイズだけでサイズを決める
弾性ストッキングのサイズは足首やふくらはぎ、太ももの周囲長で決まる製品が多い。
靴のサイズが同じでも、ふくらはぎが太ければ必要なサイズは変わります。
周囲長は朝、脚が張っていない時間に測るのが基本です。
折り返して丈を調整する
膝下丈が長いからといって上端を折り返すと、その部分だけ圧が二重になります。
ゴムひもで縛るのと近い状態です。
丈が合わないなら折らずにサイズを見直してください。
裾を伸ばしきって履く
上端を目一杯引き上げると、足首側の圧が抜けて分布が崩れます。段階圧は所定の位置に上端がある前提で設計されています。
サイズと丈で迷わない合わせ方
一般的な靴下は「22-24cm」のようなレンジ表記ですが、弾性ストッキングは周囲長のサイズ表を持つ製品が多い点が違います。
足首の最も細い部分、ふくらはぎの最も太い部分、太もも丈なら腿の周囲、そして丈の長さを測って、メーカーのサイズ表に当てはめます。
同じS・M・Lの表記でもメーカーごとに対応する実寸は違うため、表記だけで乗り換えないでください。
サイズが小さすぎると、想定より強い圧がかかり、上端やつま先の縁で食い込みます。
大きすぎると圧が不足するうえ、生地が余ってしわが寄ります。
しわの寄った部分は圧が集中する場所です。
丈については、膝下丈なら上端が膝の裏に届かない位置で止まるのが基本で、膝の裏に乗ると曲げるたびに生地が折れます。
着脱がつらい場合、履くための補助具を使う方法があります。
手が足に届きにくいときや握力が弱いときは、ソックスエイドの使い方と選び方を確認しておくと選択肢が増えます。
強い圧の製品では専用の着脱補助具が用意されていることもあります。
弾性ストッキングの洗濯とへたり対策
圧を生んでいるのはポリウレタンなどの伸縮成分です。
この繊維は熱と塩素、乾燥機の高温で劣化します。
乾燥機は使わない。
アイロンもかけない。
洗濯は手洗いか、洗濯ネットに入れて弱い水流で洗い、陰干しするのが基本です。
柔軟剤や漂白剤は繊維に影響するため、製品の表示に従ってください。
毎日使うなら2枚以上を用意して交互に履くと、生地が休む時間ができます。
繊維は伸ばされた状態が続くと戻りにくくなるためです。
履くときに以前より抵抗を感じなくなったら、圧が落ちている可能性があります。
交換の目安は製品ごとに示されているので、その記載に従うのが確実です。
爪はあらかじめ整えておいてください。
弾性ストッキングは細い糸を高い密度で編んでいるので、引っかけると一気に穴が広がります。
ゴム手袋を着けて履くと、生地を掴む力が要らなくなり、爪で引っかけるリスクも下がります。
よくある質問
寝るときも履いたままでいいですか
製品によって想定が違います。
日中の着用を前提に設計されたものと、就寝時用として設計されたものがあり、圧の強さも別です。
日中用をそのまま夜まで履き続けるのは、製品の想定外になることがあります。
圧迫療法として使っている場合は、着けている時間帯についても医師の指示に従ってください。
市販の着圧ソックスで代わりになりますか
目的が違います。
市販品は着用中の脚の張りへの対処や見た目を意図した製品が中心で、圧の分布まで管理されていない製品もあります。
症状に対する圧迫療法として使うものを市販品で置き換える判断は、医療機関でしてもらってください。
むくみが解消しますか
着用中に脚のサイズが一時的に変わったように感じる人はいますが、脚が細くなったり、体脂肪が減ったりするわけではありません。
むくみの原因は姿勢や生活習慣から疾患まで幅があります。
左右差が急に出た、痛みや熱感があるといった場合は、履くことで様子を見ずに医療機関に相談してください。
色や柄は選べますか
ベージュや黒などのカラー展開がある製品もあります。
ただし色は圧の設計とは無関係です。
仕事で見た目を気にする場合は、ビジネスシーンでの見え方と圧力の考え方を目安にすると絞りやすくなります。
運動するときに履いてもいいですか
スポーツ向けの着圧製品は、運動中の筋肉の揺れを抑えることなどをねらった別ジャンルです。
設計思想が違うため、圧迫療法用の製品を運動用に転用する前提で選ばないでください。
運動用の丈や機能は競技別に変わるスポーツソックスの選び方が参考になります。
まとめ
選ぶ順番は、圧の強さ、圧の分布、丈、つま先の形、そして周囲長でのサイズ合わせです。強い圧を選べば結果が良くなるという性質のものではなく、着脱できて、しわなく履ける範囲が実用的な上限になります。
市販の着圧ソックスと、圧迫療法で用いる弾性ストッキングは目的が別です。
前者は日常の脚の張りや見た目のために選ぶもので、後者は症状に応じて強さと分布を決めるもの。
下肢静脈瘤やリンパ浮腫、脚の痛みや腫れが気になるなら、製品を探す前に医療機関に相談してください。
シリーズごとの用途の違いを整理したい場合は、用途別に見たシリーズの違いから入ると比較の軸が掴めます。



